補完神学の提案24

私にとって、幸運なことは、マルティン・ブーバーを知った後に、「三位一体」間の関係性に関心が向いたのではなく、最初に「三位一体」の関係性を追求しているなかで、「三位一体」とは無縁のユダヤ教哲学者マルティン・ブーバーの「我と汝」を知ったということである。つまり「三位一体」追求によるオントロギア的(有賀鐵太郎)広がりと深まりに立ち往生している自分に、それ以上の言語化をやめさせる力となってくれたのがブーバーの「我と汝」にはあったのではないかと思っている。つまり有賀鐵太郎流に述べるならば、ギリシャ的「オントロギア」の世界から、ヘブル的な「ハヤトロギア」の世界に誘われたのである。なぜなら、ブーバーは「ハヤトロギア」の範疇に属する哲学者であったからである。