補完神学の提案6

6、キリスト教信仰は、「個」と「共同体」の二つの枠組みで整理することができよう。ここで言う「個」とは「実存的信仰」のことであり、「共同体」とは「教会的信仰」のことである。しかし「実存的信仰」と「教会的信仰」の二つは、二千年の教会史のなかでかならずしも歩調を合わせてきたわけではない。いやむしろ歩調を合わせることに失敗してきたように見える事例があまりにも多い。つまり「実存的信仰」だけを拠り所とする人たちは、「教会的信仰」を付け足しのように考えたし、「教会的信仰」だけを拠り所とする人たちは、「実存信仰」を常に制限し続けてきた。二つがうまくからみ合わない原因は、まずは「教会」を見失ったことにあった。